きらきらひかる

きみが好きだよ!

八王子ゾンビーズについて

 今話題の(?)八王子ゾンビーズについての感想文です。このタイミングで書かないと多分一生書かないので書きました。推しの手紙以外究極の筆不精なので…………。


 まあ正直に言って、初見では私の肌に合わなかった。なんというか、面白いでしょこれ!みたいな感じでやってきてるけど、いや、面白いとは思わないです……すみません……っていうのが大体尺として一時間程度、みたいな感じでした。ごめんなさい。*1
 とはいえ、回数を重ねるごとに役者さんたちがアドリブを増やしていくことによって面白くなってきているなという印象です。ここは冗長だな……というくだりがなくなったりして、きっと色々話し合いを重ねて良いものにしていこうという努力があるんだろうなあっていうのが垣間見えます。役者って仕事は大変というか、難しい職業ですね。



 というわけでアドリブパートは(下ネタもまあちょいちょい多いものの)面白くなってきているのですが、どうも脚本に疑問点が残る。
 ブス弄りが酷いとか書かれた記事もありましたが、個人的に一番の疑問点は「楓と母親の関係」。これに尽きます。みんな泣いてるけど、えっちょっと待って!?って初見で思ったので多分おかしい。話の流れを思い出しながら楓の発言を聞いてほしい。





※以下ネタバレしかないので気にする方はこの記事読まない方がいいです!










 楓が母親を恨んでない、というのは別に構わない。ただ、何故「僕の方こそごめん」「産んでくれてありがとう」という発言に繋がるのかっていうのが個人的に謎なんです。
 だっておかしくないですか?楓の母親は息子に興味を持たず薬にハマってることすら知らなくて、そんな楓を仁さんは心配してくれたと、楓本人が回想パートで語っている。しかしそんな仁さんを母親は薬漬けにした犯人だと断定した挙句、孔明住職と組み仁さん達八王子ゾンビーズを殺し、永遠の苦しみを与えている。そんな彼らを見て楓は成仏できていない。
 なのに、母親に対して「僕の方こそごめん」「産んでくれてありがとう」と発言する理由が私には分からない。恨まないまでなら分かる、しかしその発言に唐突に繋がるわけなくないですか?難しい……。

 二日目は友人と観に行ったのですが、観劇後「何故楓はそう発言したのか?」という議論を行いました。
 そこで小一時間語って苦肉の策レベルで出た案が「せっかく産んでくれたのに親の期待にも応えられなかった上に、薬物中毒という親不孝な理由で死んでしまってごめんなさい」ということなのかもしれない……という案でした。でも、それって八王子ゾンビーズの面々のこと全く考慮に入ってなくない?
 二時間という短い時間の中で色々収めようとしたら省略しなきゃならない部分も多いと思います。しかし、「確かにお母さんはこういうことをした、不倫をして僕を放置した、でも、」という前置きくらいは設けてもいいんじゃない?と思うのです。
 楓と母親のストーリーってこの「八王子ゾンビーズ」の話における核だと思うし、そこのストーリーをしっかりさせないと話全体の説得力が落ちると思うんですよね。でもそこで全然納得ができないから、私も毎回そこでえ〜……なんで……って顔をしながら見ることになる。正直そこのシーン、途中から考えたらダメだな……って思って別のこと考えてるレベルです。もしこのシーンに対して納得のいく解釈がある人がいるなら私に教えてください。(まあでも、そもそも客に対してそう思わせない脚本を最初から作れって話ではあるのですが……)



 あと脚本……というかどちらかと言うとこれは演出の問題ですが、気になるのは主演に長々と説明ゼリフを言わせがちだなあと。
 いや、最初の一人語りはプロローグとしての演出なのでそこはいいんですけど、合間合間に挟まる羽吹の「こうして俺は墓に向かった」みたいなセリフがどうにも、これって説明ゼリフじゃなくできなかったのかな……と思ったり思わなかったり。
 これに関しては個人の好みによるかなって範囲ですけど、何でこれが引っ掛かるかって先月まで上演されていたエーステでのセリフが頭をよぎるからなんです。

 エーステでは冒頭で咲也がMANKAI劇場について下手な演技で説明する舞台を披露します。それに対して左京さんは突然現れ、苦言を呈します。
「長々とした説明ゼリフ。つまらない脚本にありがちのパターンだ」

 このセリフを言う左京さんを演じる方は今回の八王子ゾンビーズにも出演しています。もう正直、「これはなんの皮肉なんだ……?」という気持ちにならざるを得ない。いやエーステが先だったから「エーステ内のセリフが八王子ゾンビーズの内容を後からディスる」みたいな構図にならなくて済んだのは良かったのかもしれない。良くはないか。
 ともかく、舞台なら説明ゼリフに依存しない脚本にしてほしいなっていうことが言いたい。これは上にも出てきた友人とも話していたことなんですが、この八王子ゾンビーズ、舞台作品にもコントにも、なんなら応援上演というコンテンツにしても、なんだか振り切れてなくて、中途半端な印象を与えてしまっているんですよね。二兎を追う者は一兎をも得ずみたいな。アドリブパートをブラッシュアップすることで、なんとか舞台とコントのメリハリは少し効いてきたかなって気はしますけどね。



 あと応援上演の話にも触れておくと、こういう演出って結局客依存なわけじゃないですか。映画とかの応援上映はそもそも映画自体が応援上映されないこと前提で作られているもののはずですが、今回の舞台や昨今の2.5次元舞台のライブパートって客の反応ありきで作られていると思います。
 ライブパートも嫌いってわけじゃなくて、私も元はジャニーズなどのアイドルが好きだったので客席でキンブレ振ったり声出したりするのはどちらかと言えば好きな方です。でも、ライブパートって客に向かって声出してって煽ったりしやすいですよね?今回の八王子ゾンビーズ、応援上演パートは声出してOKということになっていますが、正直海に合わせてゾンビの名前を呼んでみよう!ってくだり以外声を出す難易度が高い。もちろん曲中に名前を呼ぶ人もいますが、体感としてはほんの一部レベル。私も推しゾンビの名前を大きな声で呼びたいものの、あんまりそのタイミングが見当たらないんですよね。正直応援上演パート、オペラグラス構えたりしながらタンバリンシャンシャンしてる以外あまりできてないです。
 そんな中途半端な盛り上がり方しかできないんだったらわざわざ「応援上演」と銘打たなくてもいいのでは……って気がするし、そもそももし公演を重ねることで客側が面白いレスポンスを持ってくるだろうという期待を作り手側が少しでも抱いてるのだとしたら、こちらとしてもあまりいい気分にはならないです。
 大体、刀ミュやテニミュドリライに足を運んだこともありますが、あれって声を出す環境が十分に整った上で面白いレスポンスができてるように思うので、上記の通り声を出しやすいとは言えない環境でそれを求められても……と私は思います。



 と、長いこと文句タラタラみたいな文を書きましたが、脚本演出に関して思うことがある以外は楽しんでいます。ダンスシーンや殺陣は見応えがありますし。
 何より、あまりバックグラウンドが語られてない仁さん以外のゾンビの役者たちが演技の中で個性を出しているのが見ていて面白いです。楽しく演じているんだろうなっていうのも伝わってきます。
 また主演の方も、私はLDH関連はとんと興味が無い人種なんですがすごくいい人なんだろうな……っていうのは舞台上から伝わってきました(笑)ダンスも流石というレベルで上手いですしね。

 結論としては、八王子ゾンビーズ、良く言えば役者の努力が分かる舞台、悪く言えば脚本演出が…………って舞台という評価です。
 本当にすごく好みが分かれると思うので、怖いもの見たさで見たい人は是非。*2

 あと、これは重要なことなんですけど、今回の件もあってやっぱり推しは鈴………むに関わらないでほしいです!ホストちゃんだけは嫌!!!!!





 

*1:この辺りについて触れているブログが拡散されているそうなので、そちらを参照にしてください。私も読みましたが、それはそう……としか言いようがなかったです。仕方ない。

*2:ゾンビだけに